研究概要
分析・環境化学研究室では、環境並びに生体内における化学物質の動態を明らかにし、人間活動と地球環境の調和を実現するため、以下の研究を行っている。
廃棄物や重金属汚染土壌を対象に、キレート剤を主成分とする洗浄液を用いて金属を抽出分離して含有量を低減し、廃棄物・金属の双方を再資源化する技術開発に取り組んでいる。(i)キレート洗浄による重金属除去技術、(ii)超分子型固相抽出材によるレアメタルの精製・回収法、(iii)アミノ酸型生分解性キレート剤の環境技術への活用の研究を通して、環境分野における低エネルギー低コスト型の新しい要素技術として、幅広い産業分野への適用が期待できる。
微量鉄製剤や腐植物質を用いて海洋植物プランクトンの増殖制御に関する研究を展開し、 (i)大気中二酸化炭素の海洋への固定化、(ii) 有害プランクトンの抑制技術、(iii)光合成を利用した燃料生産システムの開発等の課題に取り組んでいる。
水域の環境改善技術の開発を目的として、微量元素の化学形態別分析(スペシエーション)、物質循環メカニズムの解明、有害金属の溶出抑制技術の開発に取り組んでいる。また、北陸地域の河川、湖沼、海域で、水環境改善に向けた調査研究を続けている。
白金属元素は、地殻中での存在量は低いが、自動車触媒や抗がん剤など様々な分野で利用されているため、都市域を中心に環境中への放出量の増加傾向が指摘されている。一方で、人為的な陸起源物質である白金属元素の海洋への供給過程には不明な点が多い。本研究室では陸域から沿岸域、閉鎖的海域、外洋にかけて白金族元素の化学的挙動を明らかにすることを目的に、極微量元素を定量するための超高感度分析法を開発するとともにその分布解明に取り組んでいる。
環境汚染物質を低コスト、低エネルギーで浄化可能な手法として、微生物による環境修復技術(バイオレメディエーション)が注目を集めている。本研究室では、環境中に蓄積した有機塩素化合物、有機金属、抗生物質などを分解する微生物を探索するとともに、これら化合物の分解機構の解明を目指した研究に取り組んでいる。